ここが知りたい  囲碁なぜなぜ問答

なぜ、碁盤の足はクチナシ形なのでしょう

 碁盤の足の先端はクチナシの実に似せてある、というのが定石です。この定説は、いちおう信用してよろしいでしょう。「クチナシ足」という木工用語も、だいぶ前からオサマリ形になっています。
 クチナシは、本州中部以南ではきわめてポピュラーなアカネ科の常録低木です。念の為に、ある辞書の説明をご紹介しますと、クチナシの実は「長さ3センチ長楕円形で萼筒(がくとう)に包まれたまま黄赤色に熟す。古くから黄色染料に用いられ、漢方では山し子といって利尿剤にする」とあります。
 実が「萼筒に包まれたまま熟す」、つまり口を開かずに熟すことを「口なし」とシャレたのが、木の名の語源のようです。
 そして、従来の常識によると、碁盤のクチナシ足は局外者に「口なしであれ」と緘口令(かんこう)を布く意図をもつといいます。
 しかし、この常識は、囲碁についての卑俗なウソ手の一つでしょう。クチナシ足は、むしろ囲碁の別称「手談」に由来すると思われます。
「手談」は、古い古い別称です。今から二千年以上前に、中国の晋の時代の支道林という博学の坊さんが考え出したとされています。意味は、もちろん「盤をはさんで碁を囲めば、まったく無言、口なしで、対局者の情意は通い合う」です。いかにも高層の創作にふさわしく、ゲームとしての囲碁の真髄の一半を洞察した別称です。クチナシ足は、この秀 な別称を飾るために彫られたものに相違ありません。
 ついでながら、クチナシの実も無視できません。辞書の説明にあるように、クチナシの実は「黄赤色」に熟し「古くから黄色染料に用いられ」ました。その黄色は、碁石の黒白にいちばんよく調和する、盤面の色でもあります。クチナシの足は盤面と呼応し合って、碁盤の色彩美のダメをつめるフクミをもちます。
 とはいうものの、碁盤の足は最初からクチナシ足だったわけではありません。早くても近世の初頭にようやく生まれ、時代とともに正統派の足としての地歩を占め、現代に入って碁盤の工芸家が急成長するのにともない、広く普及したようです。(囲碁雑学ものしり百科より)
 
なぜ、碁盤の中心を「天元」というのでしょう

「天元」の本来の意味は「天の元気の運行」とか、「その天の命を受けた天子」とか、「中国の宋、元の時代に盛んだった代数学」とか、「中国や日本で1、2度ずつ使われた年号」とかです。どの意味も、「碁盤の中心」へとスンナリ移行しません。「天元」は、かなりはっきりした囲碁術語でしょう。
 「天元」を囲碁を囲碁術語として最初に用いた人物は、江戸時代の安井派のホープ、保井算哲だったようです。算哲は、なかなかの博学で,とりわけ天文学に精通していました。棋士として碁を打つかたわら幕命を受けて暦の改訂に当たりました。
 算哲は、天文の素養を囲碁に転用することを着想しました。彼は、碁盤の中心を宇宙の中心になぞられて「太極」と呼びました。「太極」は「天地がまだ分かれず、宇宙の天気が混沌として一つである状態」です。
 算哲は「太極」を「天元」とも呼びました。彼にとって「太極」と「天元」は、完全に同義だったのでしょう。
 そして、彼はこういう理論を作り上げました。「太極」あるいは「天元」、すなわち宇宙の根元になぞらえることができる碁盤の中心を占めれば、そのあとの展開がどうであろうと、碁に負けることはあり得ない、と。
 寛文10年(1671年)算哲は、のちの第四世本因坊道策に先で御城碁を打ちました。彼は敢然と「天元の第一着」を放ちました。しかし、結果は9目負けに終わりました。その後、算哲は御城碁に11連敗しました。彼は、囲碁が天文とは全く別物であることを痛感したでしょう。
 いっぽう、幕末直属の天文学者としての仕事は、ますます多忙になりました。貞元年(1684年)、算哲は棋士のキャリアに終止符を打って、名前を渋川春海と改め、あたらしい職務に専念することになりました。
 では、「碁盤の中心」の意味で、なぜ「天文」が今日まで残り、「太極」がすたれたのでしょう。
 たぶん一つの理由は、「太極」よりも「天元」のほうが囲碁術語としての際立った独自性をもつからだと思います。(囲碁雑学ものしり百科より)
 
なぜ、碁盤は19路なのでしょう

 囲碁が創始された時に、碁盤が何路だったかははっきりしません。中国の古い文献によると、西暦紀元前何百年か前までは17路だったといいます。じっさい、17路は中国の遺跡から発掘されてもいます。唐の時代の一時期には、18路盤もあったようです。ただし、17路より少ない16路盤、15路盤となると、あったともなかったともいえません。
 碁盤が19路になったのは、やはり唐の時代らしく、路数は暦から来ています。つまり、19かける19は361。1を万物の起源の数として除くと、残りは360。360は当時の暦では1年の日数でした。
 360を四分すると90。碁盤の一隅90目ずつは春夏秋冬の90日ずつに当たります。
 辺の目数は、18かける4で72.72も暦に関係あります。古い暦では5日を1候、6候を1か月としました。1年は、6候かける12で、72候になります。
 碁は時をあらわす縦横19路の線を地につながる方形の盤に描き、その交点に天につながる円形の石を置くことで、時間と空間を統合します。(囲碁雑学ものしり百科より)


 

ブログ

1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30

カテゴリー

QRコード
携帯用QRコード